2009年6月11日木曜日

囚われの人


ショート・カッツ/SHORT CUTS
1994年/アメリカ/
監督: ロバート・アルトマン
出演:アンディ・マクダウェル/ブルース・デイヴィソン/ジャック・レモン

題名通り、短いカットで何組もの夫婦や親子の日常がだた同時進行している様を描く群像劇。
短いカットで一見前後関係がない人々のストーリーが時間軸だけを頼りに、たんたんと続くいていくために一つ一つのストーリーを見るものに感情移入する余地を与えない。非日常的な悲壮な出来事すらもたんたんと軽妙に映し出され、いつ終わるとも知れない永続のサスペンスを見ているよう。
私たちは常に自分を通してしか世界を見る事はできないのだけど、自分をも映画の中の一つのエピソードではないかと錯覚してしまうような不思議な感覚で途中からまるで白昼夢をみているかのような感覚にとらわれてしまった。
なんだか訳のわからぬまま、ただ終わる事の無い日常を生きている人々をハラハラしながら覗いているとあっという間に3時間がすぎてしまった。エンディングタイトルが流れ始め、意味深なジャズボーカル曲が流れて、やっと少しわかった気がした。
生きている以上、楽しく、嬉しいだけじゃない苦くて、辛くて、悲しい、この日常から逃げることは出来ない。人は皆、人生の囚われ人。

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